山行報告 2016年夏合宿

 

812日:移動日

 

 

 

 部室にて午前5時から出発式が行われたが、早朝ということもあって随分ささやかな出

 

発式となった。このような静かな見送りもまた悪くないと思った(強がり)。

 

 鈍行で10時間以上の移動、4人席を3人で陣取って座ることが多かったので、まんざら大変な旅程というわけでもなかった。静岡駅にて高山と末松2人と合流する。ここまで全員忘れ物など無いようなので優秀である。惜しむらくは、今回よろこんで酒を飲むのが報告者ただ独りしかいないということか。

 

 

 

813日:0日目

 

 

 

 静岡駅から登山口である椹島ロッジまでのバス移動。静岡駅→畑薙第一ダムまでのバスはしずてつジャストラインという会社だったが、この路線一日一便で、時期的に混雑するなか、予約しなければ乗車が難しいということを知らなかった。痛恨のエラー。ギリギリ空席があって乗ることができたが、危うくしょうもない理由で貴重な停滞日を空費するところだった。親切なバスの添乗員さんは帰りの便の予約を手伝ってくれた。いつもはこんなに混まないというが、添乗員さん曰く、「山の日」効果なのだそう。だったらこの時期だけでも便を増やせと内心思った。バスは満員、畑薙ダムの臨時駐車場も車で埋め尽くされていたので、ここでアルプスの規模をはじめて実感した。バスから見える景色もよく、いちいち谷間が大きくて深いことに驚かされた。東北の山しか知らないカッぺの報告者は、まるで上京してきた田舎者のようにキョロキョロしていたけどしょうがないよね。

 

 椹島ロッジは立派なつくりだった。水道、トイレ、果てはシャワーもついている。500mlの缶ビールが500円で売っている自販機があったが、作動していなかった。我々は昔から使用されている畳の敷かれた小屋で寝た。

 

 

 

814日:1日目

 

 

 

椹島ロッジ 511

 

1405 635

 

カンバ段 847

 

2027小広場 954

 

2480ポコン1158

 

赤石小屋  1237

 

 

 

初日は登り一辺倒で、樹林帯の中を黙々と登った。最初の方、・1405を特定しようと思ったが、似たような地形が多かったのであきらめた。道中、樹林に囲まれて景色はほとんど見えない。歩荷もきついので遅めのペースで、休憩もこまめに入れたので退屈な時間が続く。天気は曇りで、暑くもなく寒くもない気候だったため幸いだった。また樹林帯なのにほとんど虫が湧いてこなかったのは天啓と言ってよかった。途中に「歩荷返し」という道標があって、そこの登りはきつい。報告者は詰め込んだ10缶以上の缶類を少し減らそうかと一瞬考えてしまった。

 

赤石小屋に到着。受付のおばさんが仙台出身だったので少し会話が盛り上がった。水不足のため洗顔、歯磨きなど飲水以外では使用するなと言われたが、他の利用客は普通に歯磨きに使っていてちょっとイラッとした。時折、ガスの切れ間から赤石岳が見えた。今日こんなに登ったのに、明日まだあんなとこまで登るのか……と思うほど雄大な山容だった。

 

 

 

815日:2日目

 

赤石小屋 536

 

富士見平 613

 

砲台休憩所 730

 

赤石小屋分岐 904

 

赤石岳 928

 

馬ノ背東端 1137

 

百間平 1233

 

百閒洞露営地 1320

 

 

 

 富士見平の展望はとても素晴らしかった。360度、どこを見渡しても何かしら景色が見えた。赤石岳はもちろん、雲海から突き出す富士山、荒川三山、聖岳まで見える。前日が展望ゼロだっただけに撮影会は長かった。風は強いが日差しも強い。それでもあまり暑いとは感じないのはさすがアルプス。が、赤石岳の登りはかなりしんどかった。前日の「歩荷返し」からだが、一年生の体力がすごく頼もしい。さすがにそれほどのペースではないものの、疲れて立ち止まることなく普通に話しながら歩を進めていく。報告者の脆弱な心肺はずっと悲鳴を上げていたので、立ち止まっては壮大な景色を眺めつつゆっくり登って行った。そうして赤石岳に登頂したときは感動もひとしおだった。ガスが上がってきたので展望はそれほどだったが、周囲の景色はかなりよかった。そして、やはりアルプス、高度感がすこぶるいい。自然と気分が上がる。フランスパンをほおばって、名残惜しみつつ降りる。馬ノ背に着いてから雨が降り始める。正午には本降りになって、強風で横殴りの雨が打ち付けて来た。そこから終始無言になるパーティー。赤石岳から降り始めてから、高山の実家から台風が17日に関東直撃するという一報が届く。百閒洞露営地で作戦会議の後、翌日テン場飛ばしを敢行することに。夕食のチーズフォンデュは意外と悪くなかった。

 

 

 

816日:3日目

 

 

 

百閒洞露営地 452

 

聖兎のコル 1013

 

百閒洞下降点 605

 

前聖岳 1211

 

中盛丸山 624

 

奥聖岳 1236

 

小兎岳 728

 

前聖岳 1300

 

兎岳 841

 

小聖岳 1418

 

兎岳非難小屋 856

 

薊畑 1503

 

聖平小屋 1523

 

 

 

台風が予報通り17日に直撃するのであれば、1日停滞を視野にいれなければならない。そうなると正規ルートでは兎岳非難小屋での停滞となるが、そこは収容人数8名と狭く、何より水場がない。赤石~聖の稜線上で立ち往生するわけにもいかないので、この日は頑張って行程を1日分圧縮し、聖平小屋まで行くことにした。その際、正規ルートの大沢岳を避けて短縮コースを取り、また10時半までに聖兎のコルまで行けなければ聖平小屋には向かわずに引き返すなど、あらかじめ行動対策を立てた。濃いガスが立ち込め、いまだ薄暗い時間に出発する。稜線に出ると風はかなり強い。ガスの流れも相当早い。中盛丸山ではガスが晴れて展望がとれた。朝日に背を向けると、丸虹の中心に自分の影が伸びている神々しい現象が見られた。また、その日登る予定の聖岳の稜線から、岩礁に波が打ち付けるように雲が尾根をまたいでくる様が見えた。一同変にテンションが高まり、謎の興奮状態に陥る。このような天候は台風が直接影響しているわけではなさそうだったが(日中はけっこう晴れた)、早く聖平小屋に行こうとの思いが強くなった。結局兎岳に着くころには天候は安定し、しかも多少急ぎ気味だったのでタイムに余裕も出て来た。兎岳非難小屋に泊まると言う人もすでにいたので、台風除けに利用する人はやはり多そうだなと思った。そして聖岳の登りに入る。ここでも報告者の心臓はあり得ない速度で胸を打ってくる。1年生二人はけろりとしていたが、やはり疲労は溜まっていたみたいで、一番つらかったらしい。途中、ついに山頂か!→残念まだ先です~の流れが何回かあって、ようやく前聖岳に着く。最初ガスが囲っていて段々と展望が見えて来たが、とても良い眺望だった。光岳へ向かう稜線がすばらしい。奥聖の三角点を踏んで、山頂を満喫する。降りはしんどいの一言に尽きる。薊畑は高山植物が広範囲に咲いていてなかなかきれいだった。聖平の広くゆるやかな谷間は、高山植物と白い枯れ木のコントラストが秘境感を漂わせていた。聖平小屋に着くとフルーツポンチが配られていて、まさに甘露だった。この晩ようやく共装トランプと鉢巻きトランプが行われる。翌日下山なのに何とも言えない。日程が足りなかったなあ……。

 

 

 

817日:4日目

 

聖平小屋 510

 

岩頭滝見台 636

 

2011乗越 746

 

造林小屋跡 833

 

聖沢吊橋 912

 

出会所小屋跡 1034

 

聖沢登山口 1107

 

椹島ロッジ 1207

 

 

 

 最終日は沢沿いの道から、徐々に沢を横目に見ながら下って行った。トラバース気味の道が多く、所々頑丈そうな橋が渡してあったが、中には危なっかしい橋もあったので注意深く進んだ。聖沢吊橋はけっこう揺れたので楽しかった。実際吊橋効果って相手のこと考えてる余裕なくて、自分が無事に渡れることしか考えられないから効果薄だよなあと思う。

 

 登山口に無事到着した時には日差しがかなり暑かった。あれほど警戒していた台風は東に逸れたのでこちらは雲一つない晴天となっていた。それもあってか椹島までの林道歩きがかなりこたえた。報告者が選ぶ夏合宿三大つらかったポイントをあげるなら、この林道歩きが確実に入る(残りはお察し)。ともあれ今回3人と少ないメンバーながら、その他部員の力を借りつつ、無事に下山できたことをここに報告する。

 

 

 

文責 天野